閏秒について

今年は閏年なので閏日があります。また閏月もあり閏秒もある。とうるうで書きました。

その閏秒についてもう少し詳しく調べてみました。

秒とは

1日の長さが1秒だけ多く(少なく)するときに挿入・削除した秒のことを閏秒と呼びます。

まず、1日とはどのくらいの長さの時間なのでしょうか。

1日とは、太陽が真南にきたときから、次に再び真南にくるまでの時間です。これは実際には季節によって長さが変わるため、平均をとります。これが一般的に使われている日の長さです。

そして平均の日の長さの86,400分の1の長さをもつ時間を秒としました。

太陽の動き(実際には地球の自転)をもとに1日の長さを決めていましたが、技術が進歩して正確に時を刻めるようになってくると、1日の長さが一定でないことがわかりはじめました。ですが特に物理学などで時間の基準が変化するのは困ります。そこで秒を基本の単位として、仮に将来、平均の日の長さが86,400秒でなくなったとしても秒の長さは変更せずに使うことにしました。

もちろん、最初に秒の長さを定義する際には出来る限り、平均の1日の長さを86,400分の1した長さになるようにしました。そのとき正確な1秒を決めるために使われたのがセシウム133を用いた原子時計です。

閏秒とは

前述したとおり、1日の長さは地球の自転の速さによって変化します。この自転の速さからくるいわば天文学的な時刻系を UT1 といいます。この UT1 は小数点以下も含む値であり、細かく変化もします。言い換えると秒の長さが固定されていない時刻系です。

一方、原子時計やクオーツ時計を用いて機械的に刻んで得られる時刻系を原子時(TAI)といい、太陽(自転)の動きに依りません。そのため長い時間のスパンだと自転の動きと明らかにずれはじめて日常生活を送るうえで不便です。

そのため、原子時(TAI)との差が整数秒となり、 UT1 との差が0.9秒以内となるような協定世界時(UTC)を定めることにしていました。このとき、 UT1 との差が大きくなりすぎないように挿入または削除する秒が閏秒となります。

実際のデータをみてみましょう

http://maia.usno.navy.mil/ser7/finals.all で公開されている値をみてみましょう。

5月1日の段階で UT1-UTC は-0.5448811秒で、5月2日になると-0.5462350秒となります。すなわち1日(原子時における86,400秒)で天文学的に86,400 - 0.0013539秒分しか自転できていないと言えます。言い換えると基準にしたときよりも地球の自転速度は遅く、天文学的な1日の長さは1ミリ秒程度長いと言うことができます。

2008年12月31日に閏秒を挿入した結果、2009年1月1日の UT1-UTC は0.4071620秒になりました。今度閏秒が挿入される6月30日(日本時間の7月1日)の予測値は-0.5789687秒です。1,276日間で0.9861307秒だけUT1は遅れた計算になります。

閏秒の挿入

UT1 (自転)とのずれを解消するために UTC に1秒挿入することによって、 UT1 が UTC に追いつき追い越すのを待って差が開きすぎないようにしているのです。すなわち、 UTC でも(3年半あたり)1秒長くすることで、太陽運動との誤差を小さくしているのです。

他方、原子時は待ちませんので TAI-UTC は大きくなります。

喩えると……

長距離走をしているとします。 TAI と UTC は同じ速さで走っていますが、 UT1 だけほんの少しだけ遅く走ります。そのため UT1 は UTC や TAI から少しずつ遅れてしまいます。今回、 UT1 が UTC より約0.6秒遅くなったため UTC は1秒間だけ立ち止まることにしました。そのため UT1 は UTC を約0.4秒分だけ追い越すことができます。 UT1 は慢性的に遅れぎみなので、少しずつ UTC に追いつかれそのうち追い越されてしまいます。

TAI はそんなこと気にせず走り続けます。 UTC が立ち止まった分だけ UTC との差は開きますし、走るのが少し遅い UT1 とは普通に差が開いていっています。